このシステムは、完全ワイヤレスながら有線接続と同等の信号品質を提供するよう設計されており、自由な被験者の動作を妨げずに高解像度データの取得が可能です。
データ伝送とフィルタ仕様
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PPG および EDA/GSR 信号は、それぞれ 2,000 Hz のサンプリングレートで送信され、高精細な波形をレシーバ出力で取得可能。
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各チャンネルの信号は DC〜10 Hz に制限(バンド制限) されており、迅速な反応を要する測定にも適しています。
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内蔵の**高域・低域フィルタ(任意選択)**により、手や身体の動きによるノイズの影響を最小化しつつ、高品質な増幅処理が可能です。
装着位置と測定部位の柔軟性
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通常は左右いずれかの手の指先で測定しますが、足指や他の部位での記録も可能です。
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付属の伸縮性ベルクロストラップを使用して手首周辺に装着するか、BioNomadix メッシュシャツに装着することもできます。
応用解析とソフトウェア機能(AcqKnowledge)
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Focus Areas(注目領域)機能を使って、関心のある時間範囲に対してのみ自動解析ルーチンやサイクル検出を適用可能。
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PPG信号とECG信号を組み合わせて使用すれば、パルストランジットタイム(PTT)を推定し、間接的にリアルタイム血圧の評価にも応用可能。
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心拍の評価、刺激に関連するEDA変化(Event-related SCR)など、心理生理学分野で広く活用されています。
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AcqKnowledgeには、完全自動の皮膚電気反応スコアリングツールが搭載されており、刺激の開始検出・有効なSCRの識別・視覚的表示まで自動化されます。
ノイズ耐性と安全性
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トランスミッタはバッテリー駆動で、被験者の身体近傍に装着されるため、コモンモード除去比(CMRR)が非常に高く、一般的な有線システムを大きく上回ります。
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そのため、電源ノイズ(50Hz/60Hz)除去のノッチフィルタは利用可能ですが、通常は不要です。
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完全に絶縁された構造により、他のモジュールや外部電源との干渉も最小限に抑えられており、極めて安全です。
補足情報
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**EDA(Electrodermal Activity)**は、**GSR(Galvanic Skin Response)**とも呼ばれます。
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BIOPACではEDA/GSRデータ記録に対応する専用機器とともに、PPGとの組み合わせで多様な研究用途に対応しています。
このトランスミッタは、ストレス評価・感情研究・バイオフィードバック・認知負荷の測定など、多様な応用分野で信頼性の高い生理信号を提供します。ワイヤレスの利便性と、有線と同等の信号品質を両立した理想的なソリューションです。